正看護師の全国平均ボーナスはどれくらいなのでしょう。
本記事では、厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査を参考に、経験年数別・年齢別・勤務先規模別の平均ボーナスを紹介します。
また、ボーナスが高い傾向となる病院や、産休・育休中はボーナス査定に影響があるのかも解説します。
正看護師のボーナス実態を理解できますので、ぜひこのままお読みください。
※本記事におけるボーナスの目安はあくまで一例です。職場によってボーナスの規定は異なります。
正看護師の平均ボーナスの相場はどれくらい?
ここでは、厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査を参考に、正看護師の平均ボーナスと、税金や保険額を差し引いた手取りボーナスを解説します。
ボーナスの全国平均
正看護師の平均ボーナスは次のとおりです。
職種 | 性別 | 平均ボーナス |
正看護師 | 男女計 | 85万円 |
男性 | 92万円 | |
女性 | 85万円 |
ボーナスの手取り
正看護師の平均ボーナスである85万円から、社会保険料や源泉所得税などを差し引くと、ボーナス手取りは約70万円となります。
内訳は以下のとおりです。
- 月収:25万円
- ボーナス:85万円
- 年齢:30代
- 配偶者:独身 一人暮らし
- 住まい:東京
- 年金:厚生年金
- 健康保険:全国健康保険協会
税・保険の種類 | 内訳 |
厚生年金保険料 | 約8万円 |
健康保険料 | 約4万円 |
雇用保険料 | 約4,000円 |
源泉所得税 | 約3万円 |
ボーナス手取り | 85万円−(8万円+4万円+4,000円+3万円)=69.6万円 |
出典:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会
令和4年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省
No.2260 所得税の税率|国税庁
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和4年分)|国税庁
1年目は少ない?正看護師の年齢・経験年数別の平均ボーナス
続いては、厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査を参考にして、正看護師の経験年数別と年齢別の平均ボーナスを解説します。
また合わせて、新人看護師のボーナスが少ない理由も解説します。
【経験年数】平均ボーナス
正看護師の経験年数別の平均ボーナスは次のとおりです。
経験年数 | 性別 | 平均ボーナス |
1年目 | 男性 | 12万円 |
女性 | 9万円 | |
1年〜4年 | 男性 | 74万円 |
女性 | 69万円 | |
5年〜9年 | 男性 | 87万円 |
女性 | 78万円 | |
10年〜14年 | 男性 | 103万円 |
女性 | 89万円 | |
15年〜 | 男性 | 114万円 |
女性 | 101万円 |
【年齢別】平均ボーナス
正看護師の年齢別の平均ボーナスは次のとおりです。
年齢別 | 平均ボーナス |
20歳~24歳 | 45万円 |
25歳~29歳 | 75万円 |
30歳~34歳 | 79万円 |
35歳~39歳 | 88万円 |
40歳~44歳 | 98万円 |
45歳〜49歳 | 98万円 |
50歳〜54歳 | 103万円 |
55歳〜59歳 | 108万円 |
60歳〜64歳 | 75万円 |
65歳〜69歳 | 51万円 |
70歳〜 | 36万円 |
新人看護師のボーナスが少ない理由
新人看護師のボーナスが少なくなる理由は、評価される実績がないためです。
そもそもボーナスとは、「職員の実績に対して支給される臨時報酬」です。
働き始めたばかりの新人看護師は、評価できる実績が少ないためボーナスも低くなります。
実際に経験年数別ボーナスの0年目を参考にすると、男性は12万円、女性は9万円という結果になっています。
とはいえ、1年目以降は男女ともに70万円前後まで上昇し、満額を支給されている模様です。
正看護師のボーナスが高い病院はどこ?
可能であればボーナスが高い病院に就職したいところです。
ここでは、ボーナスが高い病院を見つける判断材料とするために、正看護師の勤務先規模別平均ボーナスを紹介します。
【規模別】平均ボーナス
正看護師の勤務先規模別の平均ボーナスは次のとおりです。
勤務先の規模(全体) | 性別 | 平均ボーナス |
10人以上 | 男性 | 92万円 |
女性 | 85万円 | |
10〜99人 | 男性 | 74万円 |
女性 | 63万円 | |
100〜999人 | 男性 | 89万円 |
女性 | 79万円 | |
1,000人以上 | 男性 | 103万円 |
女性 | 101万円 |
ボーナスが高い傾向にあるのは大学病院や総合病院
前述した規模別の正看護師平均ボーナスを参考にすると、規模が大きくなるにつれてボーナス額が上昇しているのがわかります。
実際に規模10人〜1,000人以上の間に、男性では29万円、女性では38万円も上昇しています。
また、国立病院は給与規定が設けられておりボーナスが高い傾向です。
実際に、独立行政法人国立病院機構の役職員の報酬・給与等についてを参考にすると、令和2年度における平均ボーナスは123万円であり、高水準の報酬であるのが伺えます。
以上のことから、規模が大きい総合病院や国立病院は、ボーナスが高い傾向であると推測できるでしょう。
正看護師のボーナスはいつ支給され、基本給の何ヵ月分もらえる?
正看護師のボーナスは、一般的に夏(6月〜7月)と冬(12月)の2回に分けて支給されます。
基本給の何ヵ月分もらえるかに関しては医療機関により異なります。
ちなみに、正看護師の平均ボーナスの85万円と基本給の34万円を参考にすると、次のような結果となりました。
- 85万円÷34万円=2.5ヵ月分
- 85万円÷年2回=ボーナス1回につき42万円
正看護師のボーナスは、年間で5ヵ月分程度支給されるのが平均となります。
なお、一般的にボーナスは、夏は少なめで冬は多めに支給される模様です。
正看護師のボーナスの査定基準とは?
正看護師のボーナスの査定基準は、年次・勤怠・役職査定に分けられます。
ここからは、正看護師のボーナス査定基準に関してと、産休・育休中のボーナス査定はどう影響するかも解説します。
年次査定
ボーナスは勤続年数などの年次も査定の対象です。
実際に、経験年数別や年齢別の平均ボーナスを参考にしてもわかるように、年数が長いほどボーナス額が上昇しています。
これは年次によって基本給が上昇するためです。
そのため、同じ職場で勤続年数を積めば、年数分ボーナス額も上昇するでしょう。
勤怠査定
医療機関は営業成績などの査定対象がありません。
そのため、遅刻・早退・欠勤などの勤怠は、ボーナスの重要な査定対象となります。
つまり、遅刻・早退・欠勤などがあるとその分だけ給与は安定せず、ボーナスにも影響を与えてしまうのです。
安定してボーナスを支給してもらうためにも、欠勤や遅刻、早退は避けるように努めましょう。
役職査定
正看護師においても、役職に就くことでボーナス額が上がりやすい傾向にあります。
これは、基本給に役職手当が上乗せされるためです。
正看護師においては、看護主任・看護師長・看護部長などの役職があります。
ただし、役職に就くと残業代がつかない場合もあります。
転職の際は、役職の残業代の有無も確認しておきましょう。
産休中や育休中のボーナス査定はどうなる?
産休・育休を利用中であっても、該当ボーナスの査定期間に勤務していればボーナスはもらえます。
厚生労働省の仕事と家庭の両立の取り組みを支援する情報サイトを参考にすると、不利益な算定として次のように記載されています。
育児休業、介護休業期間等、現に働かなかった期間を超えて、賃金を支払わないこと
引用:不利益な算定に該当する例|仕事と家庭の両立の取り組みを支援する情報サイト|厚生労働省
つまり、産休・育休期間のボーナスは差し引かれますが、ボーナス査定期間中の実際に働いた分の報酬は支給されます。
転職時はボーナスを年何回、何ヵ月分もらえるか確認しよう
ボーナスは合計年収額を左右するため、できるだけ多くもらいたいところです。
しかし、いざ就職すると「◯ヵ月分を年2回もらえると思っていたのが、年1回だった」ということもあります。
転職前に何ヵ月分を年に何回もらえるのか、正確なボーナス額を確認しておきましょう。